2013年1月13日日曜日

エンゾ早川「ラクダのコブのある自転車乗りになりたい」

エンゾ・早川 (著)
「ラクダのコブのある自転車乗りになりたい (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4575299804>
単行本: 253ページ; 出版社: 双葉社 (2007/6/27); ISBN-10: 4575299804; ISBN-13: 978-4575299809; 発売日: 2007/6/27
[書評] ★★★★☆
 筆者・エンゾ早川氏は、自転車雑誌で「腰踏みペダル」等々、(今にして思えば)間違ったペダリング論が華やかなりし頃、 「正しいペダリングは骨盤を立てて、背中にコブが出来るような乗り方だ」と『バイシクルクラブ』で異論を述べ立てることにより、 銀輪道(?)のメインストリームにイキナリ出てきた自転車屋の店長。 自転車屋のみならず、自身もアスリートであり、また物書き・イラストレーター・革命家(?)という肩書きも持つ。エンゾ早川氏の文章は、なるほど、自称「科学者」と言うだけあって、プロのレーサーの観察と自分自身を検体にした人体実験(自転車乗りって何故か皆コレやるんだよね)の結果から、 骨盤を立てて乗るのが一番正しい乗り方だとする。この乗り方は、外観上、背中の中ほどにコブが出来るような姿勢になるので、これを「ラクダのコブ」と称する。バリバリ理系の私が読んでも非常にわかりやすい文章を書く。
 自転車の正しい乗り方のみならず、 自身の生き方についても述べる。 熱い。
 ちなみに、本書の筆者は私の1歳年上。でも、私なんか比較にならないくらいの修羅場を生きてきている。それも、近しい人を複数亡くすなど、激しい。 本書ではおチャラけた書き方をしているが、強い信念を持って生きている。 自転車にも強い信念を持って乗っている。この人と比べちゃうと、自分は何と甘い自転車乗りだったことか。
 しかしこの筆者、何だか生き急いでいるような気がするのは、私だけではないのではないだろうか。 「彼のように喪ってしまうことを考えたら、命を削ることなど少しも怖くない」(第1章の末尾より抜粋)――この一文、格好をつけて書いた訳ではなく、 筆者=「エンゾ・早川」氏の生き方を示す凄まじさというか、迫力というか、そういった力のこもった一文だ。 自転車好きな人、熱い男が好きな人には堪らない1冊だろう。

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