2013年1月9日水曜日

D・E・クヌース「コンピュータ科学者がめったに語らないこと」

D・E・クヌース (著), 滝沢 徹 (翻訳), 牧野 祐子 (翻訳), 富澤 昇 (翻訳)
「コンピュータ科学者がめったに語らないこと」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4434036173/>
単行本: 272 p ; 出版社: エスアイビー・アクセス ; ISBN: 4434036173 ; (2003/09/18)
[書評] ★★★★☆
 D.クヌース教授といえば、コンピュータ・アルゴリズムの研究(「文藝的纂法」)や コンピュータ組版システム「TeX」の開発で著名な研究者だが、 本書はそのクヌース教授の宗教研究の講義録である。
 本書(の元となった講義)で、クヌース教授は、聖書の各章の3章16節だけを原典、すなわちヘブライ語、場合によってはギリシャ語から翻訳し、既存の英訳とも比較する。それも、単に翻訳するのではなく、充分な吟味と適切な翻訳をしている。その姿はこれでもか!と言わんばかりに徹底的である。 科学者らしいアプローチではあるが、その対象が人間の作品とその解釈という、これまた人文的活動であり、クヌース教授がこの研究を心から楽しんで行ったことが見て取れる。
 日本ではクヌース教授は(TeXや計算機科学に関わっていない人にとっては)影の薄い存在かも知れないが、また、旧約聖書・新約聖書の充分な吟味・比較・解釈という意味では馴染みが無いかも知れないが、なかなか面白い。ちょっとマニアックな本と言えるかも知れないが、オススメできる。

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