2013年8月17日土曜日

米澤信穂 「古典部」シリーズ

米澤信穂「古典部」シリーズ

[シリーズ書評] ★★★★★

人気小説が2012年にアニメ化・TV放送され、人気がさらに上昇した作品。(そう言えばアニメ「氷菓」の制作は「涼宮ハルヒの憂鬱」や「けいおん!」と同じ京都アニメーションだったな。) こちらは、涼宮ハルヒシリーズのような「ありえない話」ではなく、高校生の部活(古典部)を中心とした生活を緻密に描きつつ、ミステリー的要素も交え、淡いラブストーリー的要素も入った作品。

ありそうな話中心で(作者も事実を元に創作していると明言している)、ライトノベルと言われる中では地味めの作品。とはいえ、
 ・主人公(メインの語り部)は省エネ主義の平凡(だと思っている)な男子高校生
 ・振り回され系
 ・主要な登場人物の多くは個性的な女性(ハーレム系という訳ではないが)
といったラブコメ的要素はそれなりに押さえている。健全な高校生活と微妙な男女関係を中心に描いており、派手ではないが、充分読ませる良作だと思う。

多くのライトノベルのような「ブッ飛んだ設定」でなく、安心して読める良作。

①米澤 穂信 (著), 上杉 久代 (イラスト), 清水 厚 (写真) 「氷菓 (角川文庫) [文庫]」(角川書店/角川グループパブリッシング、2001/10/31)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4044271011/>

主人公・折木奉太郎が高校入学後、省エネをモットーとしているにも拘わらず、古典部に入るに至ってしまった経緯と、その古典部での活動(春~夏)を描く。古典部の部長・千反田えるの好奇心に奉太郎が振り回されて謎解きをしてしまう描写が微笑ましい。

②米澤 穂信 (著), 高野 音彦 (イラスト), 清水 厚 (写真) 「愚者のエンドロール (角川文庫) [文庫]」(角川書店/角川グループパブリッシング、2002/7/31)
<http://www.amazon.co.jp/dp/404427102X/>

高校の1学年上のクラス、2-Fの自主映画の製作が頓挫してしまった。謎解き(犯人当て)の形をとって、何故か古典部の面々が探偵役?を押しつけられてしまう。撮影の終った分と合わせて矛盾の無い展開として、奉太郎の案が採用されるが…?

明記はされていないが、奉太郎が振り回されている影に、今回も奉太郎の姉・供恵の暗躍があるようだ。。。

③米澤 穂信 (著) 「クドリャフカの順番 (角川文庫) [文庫]」(角川書店/角川グループパブリッシング、2008/5/24)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4044271038/>

本作は学園祭という舞台で登場人物が色々な場所・立場から語り部となる多視点形式となっている。他人から見た自分と自分自身の認識とのズレ、気持ちの違い等が上手く書かれている。前2作を読んだ後じゃないと、この認識のズレはわかりにくいかも知れないが、語り部が代わることによって色々な視点から物語を追うことが出来るのは面白い。

◇米澤 穂信 (著) 「連峰は晴れているか」(単行本未収録、氷菓のBD第9巻付録)(角川書店、非売品/DVD発売日: 2013/02/22)
(BD:<http://www.amazon.co.jp/dp/B007RC1LQ6/>)

単行本になっていない話。奉太郎にしては珍しく、他人の為でなく、自分の疑問を解決するために動く。

④米澤 穂信 (著) 「遠まわりする雛 (角川文庫) [文庫]」(角川書店/角川グループパブリッシング、2010/7/24)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4044271046/>

高校1年生の時の古典部の活動?の零れ話、バレンタインデーでの顛末、高1~2の春休みに行なわれた「生き雛祭」を題材とした話。

奉太郎の親友・福部里志と、彼を追って古典部に入部した伊原麻耶花の、なかなか実らないラブストーリーが(里志が麻耶花を受け容れてしまって良いのか迷っている)、高校生らしくて好感が持てる。

本作のラスト「遠まわりする雛」では、奉太郎がえるに対して好感を持っていることを自覚するが、里志と同じように、自分の思いに迷いが残っていることも自覚する。(アニメ版では「11.5話 持つべきものは」(高1の夏休み後半?の話)で、えるが奉太郎への告白とも取れる発言(!)をしているが、これは原作には無いストーリーのようだ/詳細未確認。)

自分は高校の頃はここまで自分の将来を決めるということは無かったけど(大学に行ってから考えればいいや…みたいな)、自分の高校のクラスメイトの中に、高校在学中から将来像を明確に決めている人もいたので、こういう展開にも納得は出来る。

⑤米澤 穂信 (著) 「ふたりの距離の概算 (角川文庫) [文庫]」(角川書店/角川グループパブリッシング、2012/6/22)
<http://www.amazon.co.jp/dp/4041003253/>
主人公・折木奉太郎をはじめとする古典部のメンバー4人が2年生に進級し、
古典部の新入生勧誘活動から舞台は始まる。
最初、「“ふたり”とは誰か?」とドキッとしたが。。。そんなに安易なものではなかった。

今後の展開を期待させる良作。

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