2013年12月11日水曜日

近藤 史恵 (著)「キアズマ」


近藤 史恵 (著)「キアズマ」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4103052546/>
単行本: 301ページ; 出版社: 新潮社 (2013/4/22); 言語 日本語; ISBN-10: 4103052546; ISBN-13: 978-4103052548; 発売日: 2013/4/22

[書評] ★★★☆☆

「サクリファイス」から続くシリーズ4冊目の最新刊。前3作がプロの自転車ロードレース選手を中心とした話だったのに対し、本作は大学の自転車部が舞台となっている。これまでの作品が、主人公らが自ら死と向かいあっているのに対し、本作では、関係者(主人公ではない)が死と向かいあっている。心理描写の細やかさは従来通り。

同じ自転車スポーツを舞台とした川西蘭(著)「セカンドウィンド」シリーズより話は重いものの、これと似た爽やかな読後感がある。今回はシリーズでこれまで続いて来たサスペンス的要素が無いので、それのような展開を期待しながら読むと、肩透かしを食うかも知れない(ちょっと物足りなさも感じる)。

自転車競技の入門者が経験する様々なことが書かれていて、シリーズの過去3作がプロレーサーの話で、読者は「レースを見る人」に近い立場で読み進めるのに対し、本作では「自転車に乗る人」」としての感情移入をすることになる。

適度な展開スピードで読み易い。自転車スポーツに興味のある人ならば(という条件が付いてしまうので評点は満点には出来ない)、楽しく読めるだろう。

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