2012年9月29日土曜日

阿尾博政「自衛隊秘密諜報機関―青桐の戦士と呼ばれて」

阿尾 博政 (著)
「自衛隊秘密諜報機関 ―青桐の戦士と呼ばれて (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4062154633/>
単行本: 290ページ; 出版社: 講談社 (2009/6/5); 言語 日本語; ISBN-10: 4062154633; ISBN-13: 978-4062154635; 発売日: 2009/6/5
[書評] ★★☆☆☆
アメリカのCIA、旧ソ連および現ロシアのKGBなどに代表されるような情報機関が日本にも存在するということと、 具体的にどのような活動をしているかを示した本。 著者は自衛隊の情報機関に居た人。
読み物としては悪くないのだが、読後感がイマイチ宜しくない。 人様にナカナカ言えない仕事があること、そういう仕事に従事している人がいることは確かなのだろう。だが、そういう話を本として発行し、世に広める必要は無いのではないか。 世に出してしまうと、当然のことながら、自国民だけでなく、諸外国にも公の情報として知られることになる。そのこと自体、非常に拙いのではないだろうか。
違う言い方をしよう。「そういう話は墓場まで持って行って欲しかった」。

2012年9月28日金曜日

小川政邦(翻訳)「KGBの世界都市ガイド」

小川 政邦 (翻訳)
「KGBの世界都市ガイド (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4794964919/>
単行本: 382ページ、出版社: 晶文社 (2001/06)、ISBN-10: 4794964919、ISBN-13: 978-4794964915
[書評] ★★☆☆☆
 複数のKGBの職員(つまり旧ソ連時代のスパイ)が各国で過ごした経験をもとにまとめて「世界都市ガイド」なんつーフザケた題名をつけた本。 旧ソ連のスパイの生活に興味のある人には色々興味深いところもあろうが、 基本的に我々市井の人には関係の無い世界ではある。
 ま、たまにはこういうくだらない本もよろしいかと。

2012年9月27日木曜日

中村秀樹「本当の潜水艦の戦い方―優れた用兵者が操る特異な艦種」

中村 秀樹 (著)
「本当の潜水艦の戦い方―優れた用兵者が操る特異な艦種 (光人社NF文庫) (文庫)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4769824939/>
文庫: 317ページ ; 出版社: 光人社 (2006/05) ; ISBN-10: 4769824939 ; ISBN-13: 978-4769824930 ; 発売日: 2006/05
[書評] ★★★★☆
 元海上自衛隊潜水艦長が戦争の実態に基づいて検証し、 旧帝国海軍(そして海上自衛隊も)が潜水艦という艦種は特異な艦種を上手に使えなかった原因を分析し、正しい用法を示す。
 潜水艦の用法を誤った背景として、日本軍(帝国軍・自衛隊)の情報軽視の体質、そして、情報軽視の根本的な原因として、自己に都合の悪い現実に目を背ける硬直性を挙げる。この情報を重視する為には、情報収集に熱意を持つだけでなく、 好ましくない現実をも受け入れる柔軟性を必要とするが、日本軍にはこれが欠けていたと言う。
 また、日本の下士官は世界一という評価についても同様に分析する。 下士官とは、方針の決定者・命令者を補佐し、技量未熟な若年兵を指導監督しつつ、 頻発する不備・行き違いを臨機応変に高い技量で吸収して、 軍隊という巨大な組織の活動を支える役割を担う、とする。 日本人の民族性は、この下士官に最適な特徴といえる。 日本の軍隊は、陸海軍を問わず、下士官の技量と下級士官の献身において世界最高の水準にあった。
 リーダーの情報軽視・硬直性と、最高水準の下士官。 軍隊だけでなく、どこぞの企業のことを言っているようにも読める。 組織論として読んでも非常に興味深い。

2012年9月26日水曜日

野中郁次郎「アメリカ海兵隊―非営利型組織の自己革新」

野中 郁次郎 (著)
「アメリカ海兵隊―非営利型組織の自己革新 (中公新書) (新書)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4121012720/>
新書: 212ページ ; 出版社: 中央公論社 (1995/11) ; ISBN-10: 4121012720 ; ISBN-13: 978-4121012722 ; 発売日: 1995/11
[書評] ★★★★☆
 アメリカには、陸海空の三軍以外に「海兵隊」という軍隊が存在する。その起源は立国の時にまで遡るが、元々は英国軍隊の海兵隊に相当する軍隊として作られたようだ。 我が国では、大東亜戦争中期~後期、南洋でアメリカ軍の上陸を許したのが戦線の崩れへと繋がったが、ここでアメリカ軍の主力となって働いたのが海兵隊であった。
 海兵隊は、時代の流れとともに度々出てきた海兵隊不要論に掻き消されないよう、 自らの存在意義をイノベートしてきた。 米国独立戦争に始まり、米国の経験した大きな戦争だけでも、 南北戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、イラク戦争…、これらの戦争のたびに、その前後で、海兵隊は自らの存在価値・役割を大きく変えてきた。 存在が危うい時期を経験したからこそ、アメリカ海兵隊は自らをイノベートできたと言えるし、こうした歴史を通じて、常に世界最強の少数精鋭軍として君臨し続けてきたとも言える。
 時代の流れとともに存在意義を定義し直し、自らをイノベートする組織。 変化の激しい今の時代、企業人が読んでも得るところは大きいと考える。

2012年9月25日火曜日

勝谷誠彦「世界がもし全部アメリカになったら」

勝谷 誠彦 (著), 藤波 俊彦 (絵)
「世界がもし全部アメリカになったら (単行本)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/477620214X/>
単行本: 63ページ ; 出版社: アスコム (2005/05) ; ASIN: 477620214X
[書評] ★★☆☆☆
 アメリカが世界中を改宗して画一化しようという、「グローバル・スタンダード」。すなわち、全世界アメリカナイズですな。 実際には起こりそうもないが、もし全世界が現在のアメリカと同じになったら、 世界はこうなっちゃうよ、という数字遊びの本。
 現実の問題を非常に偏った形で表現しているが、アメリカがどれだけ病んだ国であるかを極端に表した本としては悪くないかも。
 でも、15~30分で読みきっちゃう本が800円というのはチト高いかな?という意味で、★2つにさせて頂きました。

2012年9月24日月曜日

宮嶋茂樹・勝谷誠彦「不肖・宮嶋 南極観測隊ニ同行ス」

宮嶋 茂樹 (著), 勝谷 誠彦
「不肖・宮嶋南極観測隊ニ同行ス 新潮文庫」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4101242313/>
文庫: 279 p ; 出版社: 新潮社 ; ISBN: 4101242313 ; (2001/07)
[書評] ★★★★☆
 戦場ジャーナリストとして有名な“不肖”宮嶋茂樹氏が、短期間とは言え、 極限の地、南極のいくつかの基地で活動した時の物語を、非常にオチャラけた感じに綴った本。 南極はいわゆる戦場ではないかも知れないが、 極限状態という意味では、戦場にも通じる部分がある。その極限において人間がどのようになるかといった点は、 戦場取材にも通じる所があると言えよう。
 宮嶋氏は、辛い経験も笑い飛ばし、その辛い生活・活動の中に面白いネタを見つける天才かも知れない。この人ほど「生きるパワー」に満ち溢れたジャーナリストを私は知らない。 南極に自衛隊員を派遣する政治的目的・科学的目的といった崇高な(?)話は一切出て来ない。しかし、極端な節約生活の中で、人間という生き物がどう振る舞うか、 自らを元気づけるためにどんなことをするか、そういったことがヘラヘラとした文章で述べられている。 勿論、山ほどの地道な作業が文章にされないまま、ネタになりそうな部分だけピックアップしているのだろうが。
 本書は、我々に元気を与えてくれる。が、しかし、処々に下ネタが散りばめられているので、そういうモノに抵抗を感じる人は要注意だ(笑)。まぁ、極限状態ほど人間を獣化させる物はない、ということで、 下ネタというよりも人間の自然な姿、と捉えれば良いのだろう。
 必要以上に?品の無い記述がある点を除けば、非常に面白い。 極限状態を仮想体験してみたい人にはお薦めできる。

2012年9月23日日曜日

宮嶋茂樹「不肖・宮嶋 in イラク 死んでもないのに、カメラを離してしまいました。」

宮嶋 茂樹 (著)
「不肖・宮嶋inイラク―死んでもないのに、カメラを離してしまいました。」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4776200880/>
大型本: 出版社: アスコム ; ISBN: 4776200880 ; (2003/07)
[書評] ★★★★☆
 先のイラク戦争を取材した際に撮影した写真集+少々の記事をまとめた本。 日本の新聞やテレビには絶対に出ない、死体の写真や千切れた人体の一部の写真など、 少々グロテスクな映像が多いので、そういう写真を受け付けられない人には見るのも辛いだろうが、これがアホなアメリカ人が一方的に始めた戦争による国民の姿だ。 刮目して見よ!と私は言いたい。
 本書の写真、特に夜間の砲撃・爆撃の写真は、 宮嶋氏も生命を危険に晒して撮影したものである。ブレたり、曲がったりした写真もいくつも入っているが、これらが全て、現場の生々しさを伝える。
 湾岸戦争を取材したTV放送では、TVゲームさながらの爆撃の映像などが放映されたが、あれは戦争のうち、圧倒的優位に立ったごく一部の視点に過ぎない。 圧倒的多数は、砲撃・爆撃を受ける一般市民なのだ。 宮嶋氏の写真は、この一般市民の視点、 現場で恐怖に怯えながら必死に戦う兵士たちの視線から映している。
 憲法第9条は変えるべきとか、太平洋戦争での日本の行いは正しかったのだとか、くだらない議論をしている人たちがいるが、 本当の戦争や戦場を知らないで何を語るのだろう。 改憲論をブチかます前に、橋田氏や宮嶋氏の本を読め! 写真を見ろ! それでも貴方は日本は先制的攻撃を出来るような憲法を持たなければいけないのか? そう言いたくなる。
 沢山の人に是非見て欲しい一冊である。