2012年8月27日月曜日

渡波郁「CPUの創りかた」


渡波 郁 (著)
「CPUの創りかた」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4839909865/>
単行本: 328 p ; 出版社: 毎日コミュニケーションズ ; ISBN: 4839909865 ; (2003/10/01)
[書評] ★★★★☆
 面白い! この一言に尽きると思う。
 本書は、汎用ICを組み合わせて、CPU(と呼べそうな物)を作ってみよう、という趣旨の本だ。が、実際に作ることよりも、ロジックの組み立て方の解説の方に重きを置かれている。と書くと難しい本だと思われそうだが、読むのに必要な予備知識は少なくても大丈夫だ(勿論、ディスクリート電子部品の知識があれば役に立つし、アセンブラの知識があればロジック回路の組立の部分で非常に役に立つ)。ソフトな文体に似合わず、内容は結構クリアに書かれていたりする。また、ドロドロした専門的な話は必要以上は書かれていないが(各自の興味に合わせて、Webで調べるなりIC/LSIメーカのデータシートを見るなりして自分で調べて欲しい、とのこと)、これが却ってテンションを下げずに読み続けられるポイントなのかも知れない。
 製作するCPUは4ビットで16ステップしか無い、非実用的なシロモノだが、 「読んでみようじゃないか」と思わせるだけの内容は持っている。 読み進めるのに必要な情報は、順番に読んで行けば大抵書いてある。 読者に求められるものは、ロジック回路の組み合わせパズルを理解するだけの忍耐力。これに尽きる。(勿論、テキトーに読み流しても内容はソレナリに解る。) ただ、この本の問題点は、表紙や挿絵が「萌え」系なこと。 少なくとも、通勤電車の中で読むには、この表紙はいただけない。 表紙を外していても、挿絵を人に見られるのは、やはり恥ずかしい。…というだけの理由で、☆ひとつ付けさせてもらったが、 家などでゴロゴロしながら読むには、非常にオススメだ。

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