2012年8月7日火曜日

三浦展「下流社会第2章 ―なぜ男は女に“負けた”のか」

三浦 展 (著)
「下流社会 第2章 なぜ男は女に“負けた"のか (光文社新書) (新書)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4334034179/>
新書: 237ページ ; 出版社: 光文社 (2007/9/14) ; ISBN-10: 4334034179 ; ISBN-13: 978-4334034177 ; 発売日: 2007/9/14 ; 商品の寸法: 17.2 x 10.8 x 0.8 cm
[書評] ★★☆☆☆
 「下流社会 ~新たな階層集団の出現~」の発行後2年経ち、第2弾が出た。 格差社会という概念が世間に認識されてからの発行で、前著に続き話題を呼んだ書。
 前作以上に大量の調査を行い、そこから様々な結論を引き出す。ただ、(統計学を学んだ人なら誰でも気付くことだと思うが)データの相関性の解釈が甘い きらいがある。すなわち、下記のような考慮が足りないのでは?と気になる。
 (1)事象Aと事象Bの相関性が高い場合に「AだからB」と決め打ちしている。すなわち、「BだからAなのでは?」という可能性についての考察が足りない。
 (2)事象Aと事象Bの相関性が高いという事実がある場合、別の事象Cが介在して これらの相関性が高くなっている可能性を考慮していない。すなわち、「CならばA」と「CならばB」という事象Cの存在の可能性について考慮されていない点が気になる。
 非常に多くの調査を行った努力は認めたいが、上記のような欠点があるため、データの解釈については疑問を持たざるを得ない。 娯楽本としては悪くないが、本書の結論について、 自分がどのカテゴリーに入るかとか、だから自分はどうなんだとか、そういったことに一喜一憂する必要はないと思う。
 良くも悪くも、売れた本の2番煎じで、得るものは少ないかも知れない(勿論、読み手次第だろうが)。
 ちなみに、副題に「なぜ男は女に“負けた”のか」とあるが、 非正規社員ゆえに低収入な一人暮らしの男性が「世間並みと比較して自分は下流」と認識するのに対し、 非正規社員ゆえに低収入な一人暮らしの女性が「親・夫・上司に束縛されず自由である」と認識している ことを指しているだけであり、真に「男が女に“負けた”」と言っている訳ではないので留意されたい。(こういう、本の内容を無視したキャッチーなコピーは売らんかなの作戦は害悪だと思う。)

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