2012年12月15日土曜日

ノーム・チョムスキー「メディア・コントロール ―正義なき民主主義と国際社会」

ノーム・チョムスキー (著), 鈴木 主税 (翻訳)
「メディア・コントロール ―正義なき民主主義と国際社会 (集英社新書) [新書]」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4087201902/>
新書: 176ページ; 出版社: 集英社 (2003/4/17); 言語 日本語; ISBN-10: 4087201902; ISBN-13: 978-4087201901; 発売日: 2003/4/17
[書評] ★★★★★
 米国の軍事行動を批判し続けてきたチョムスキーが(1960年代にヴェトナム戦争への反戦デモにより逮捕されている)、 戦争をしたい政府(特に米英)が、平和を好む民衆の意識を、メディアの力を用いていかに変えていくかを明らかにする。その例として第一次世界大戦、ベトナム戦争、南米の民主化抑圧、イスラエルの不法占拠、イラクの大量破壊兵器を挙げ、メディアコントロールにより仮想敵を作り上げる様子を示す。
 民主主義とは本来、一般の人びとが自分たちの問題を自分たちで考え、その決定にそれなりの影響をおよぼせる手段をもっていて、情報へのアクセルが開かれている環境にある社会、であるはずだ。しかし、米国を中心とする世界での「民主主義」の実体は、一般の人びとを彼ら自身の問題に決してかかわらせず、 情報へのアクセスは一部の人間のあいだだけで厳重に管理している、と言う。
 戦後日本の経済復興は、50年間アメリカのアジア地域における戦争に全面的に関わることによって、その上に積み上げられたと言う。そういう意味で、日本もまた(憲法第9条があろうが無かろうが)軍国主義の一端であったということになる。
 色々と考えさせる本だ。

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