2012年6月29日金曜日

凌志軍「聯想(レノボ) 中国最強企業集団の内幕」(上・下)

 
凌志軍 (著)人民日報高級編集者, 漆嶋 稔 (翻訳)
「聯想 中国最強企業集団の内幕 上」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4822244962/>
単行本: 456 p ; 出版社: 日経BP社 ; ISBN: 4822244962 ; 上 巻 (2006/02/09)
凌志軍 (著)人民日報高級編集者, 漆嶋 稔 (翻訳)
「聯想 中国最強企業集団の内幕 下」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4822245020/>
単行本: 472 p ; 出版社: 日経BP社 ; ISBN: 4822245020 ; 下 巻 (2006/02/09)
[書評] ★★★★☆
 中国一の巨大コンピュータメーカ、聯想(レノボ)の創業から今に至るまでの歴史と その中での人間模様を描いた、ノンフィクション・ストーリー。 非常に面白い。最初はもう少し技術的な内容かと思ったが、人間ドラマがメインだ。
 聯想(レノボ)の創業は、中国の国立研究所における中国語入力インタフェースの開発に遡る(この中文入力インタフェースの名称「聯想」が、後にこの会社の名前となる)。しかし、聯想の創業当時、個人用コンピュータは成長市場だったとは言え、 中国国内の市場は、米国や台湾の海外製品が覇権を争っていたこと等から、 聯想は当初、海外ブランドのPCの中国国内向けの輸入・組立てメーカとしてスタートする。その後、中文入力インタフェースの事業も本格化するが、コンピュータの処理能力が向上するに従い、PC外付けのインタフェースもその役割を終える。 当初、IBM PC互換機の組立てと中文入力インタフェースを事業の柱としてきた聯想も、PC本体の設計・製造・販売に本業をシフトする。インターネット時代の幕開けの波に乗り、聯想は企業の規模をどんどん拡大して行く。
 創業者・柳伝志の思い、聯想の発足当時の技術的礎を築いた倪光南との確執、 等々人間ドラマが繰り広げられる。 本書を読んで再確認したのは、企業を創業し、成功した者が必ずしなければならないことは後継者作りであり、実はこれが企業の運営で最も難しいことであるのは、 国や洋の東西を超えた永遠のテーマなのだということだ。 聯想がどのように凄いのかを知りたくて読み始めた本だったが、 企業として地道に本業を育て、伸ばし、機会があれば新規の事業も育て、伸ばす。 時々、やらねばならぬ「賭け」に出て、勝利する。 当たり前といえば当たり前のことをやって、連想は伸びて来た。
 しかし、今後の聯想は違う。 日本で言えば今のトヨタもそうだが、国内有数の大企業となると、 入社してくる人は、収入や生活の安定を求めて来る人が多くなる。そういった社員に、どうやって「革新(イノベーション)」 「(守りではなく)攻めの商品開発」をさせるか。これは某F社にとっても同じ問題が言える。この問いに対して、本書は何の答えも与えてはくれない。ただ、考えるきっかけを与えてくれる。
 旧IBMのパーソナル・コンピュータ部門を買収した聯想がどういう成り立ちであるのか、またどういう考え方の企業なのか。それを知る上でも、また新興企業の問題・経営者の悩み・大企業になった後の企業運営の難しさを知る上でも、本書は色々とヒントを与えてくれる。

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