2012年11月27日火曜日

石井茂「量子コンピュータへの誘い」

石井 茂 (著)
「量子コンピュータへの誘(いざな)い ~きまぐれな量子でなぜ計算できるのか~」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4822282112/>
単行本: 278 p ; 出版社: 日経BP社 ; ISBN: 4822282112 ; (2004/12/23)
[書評] ★★★★☆
 うーん、、、面白いし、量子論の歴史の俯瞰ができて、そこから量子コンピュータへの繋がりが説明されるという、ある意味「正統派」の流れを持つ本なんだけど、イントロ数ページで軽く量子コンピュータの概要に触れた後は、 本全体の四分の三まで前期量子論~後期量子論(の一部)を語るのに費やしてしまっている。つまり、本書の本題である量子コンピュータにあまり分量が割かれていない。 勢い、量子コンピュータの説明が浅くなっている。量子コンピュータの概念のキモの部分に限定すれば、たとえば「ナノエレクトロニクス」とかの ホームページとかで無料で読める内容と大差ない。そういう意味で、量子コンピュータのことを深く知りたい技術屋向けではなく、 量子コンピュータのことを話題のひとつとして知っておきたい人向けの本だと言えよう。
 無論、だからと言ってこの本の価値が無くなる訳ではないが…。また、この本は量子コンピュータだけでなく、 量子暗号にもそれなりのページを割いている(つまり「量子コンピュータ」を語るページが その分減っているように思える)。 量子暗号の概念は根っこの部分(根っこから、地上に見えている幹の下の方まで)は量子コンピュータとも非常に近い概念の上に成り立ってはいるが、ちょっとこの内容バランスは不満。 内容自体は面白かったが、タイトルから期待した内容とちょっと違ったぞ、という程度の意味で減点1点の★4つ。

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