2012年7月3日火曜日

カルロス・ゴーン「ルネッサンス 再生への挑戦」

カルロス・ゴーン (著), 中川 治子 (翻訳)
「ルネッサンス ― 再生への挑戦」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4478321000/>
単行本: 288 p ; 出版社: ダイヤモンド社 ; ISBN: 4478321000 ; (2001/10/25)
[書評] ★★★★★
 カルロス・ゴーンの本は数多あるが、これはゴーン本人が初めて書いた本(他の本はインタヴュー等を基に、他の人がまとめたものだ)。 小説風の書き方で、自分がどのようにして経営者としての見識を身に付けたかという体験話(苦労話)を綴りながら、経営者として自分の行ってきたことを示す。 技術経営に興味のある人にも参考になると思う。しかし、勘違いしてはいけないのは、ゴーン氏は特別に新しい手法を用いた訳ではないということ。コストを減らすにはどうしたら良いか、動き易い組織にするにはどうしたら良いか、 顧客の声を製品に反映するにはどうしたら良いか、等々。ゴーン氏の業績で評価されるべきは、やるべきことをきちんとやったこと。 日本企業の多くに当てはまる問題として、個々人が社内外のしがらみに縛られ、 社内の政治に縛られ、やるべきことを効率よく行うことが困難であることが挙げられる。ゴーン氏にとって幸いだったのは、後から来た人ゆえに、こうしたしがらみに縛られていなかったこと。これらに縛られず、やるべきをきちんとやったことが、ゴーン氏の業績である。 本書は、この辺りの方法論についても触れられている。
 本書はボリュームは多くなく、またタッチも小説風で読みやすい。 週末などに半日もかければ一気に読める。コンパクトな割に示唆に富む良書だ。

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