2012年7月20日金曜日

野村克也「巨人軍論―組織とは、人間とは、伝統とは」

野村 克也 (著)
「巨人軍論 ――組織とは、人間とは、伝統とは (ワンテーマ21) (新書)」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4047100366/>
新書: 176ページ ; 出版社: 角川書店 (2006/2/10) ; ISBN-10: 4047100366 ; ISBN-13: 978-4047100367 ; 発売日: 2006/2/10 ; 商品の寸法: 17.3 x 11 x 1 cm
[書評] ★★★★☆
 巨人軍がV9を達成しつつあった巨人黄金時代の巨人軍の分析を通じ、 野村克也氏が考える結果の出せる戦う集団に関する論を著した本。 本書の中で、現在の巨人がタレントを持った選手を数多く擁していながら何故勝てないのか、ヤクルトはどのように強いチームに生まれかわったのか、そのような組織を率いる監督の仕事とは何か、等々について熱く語る。 球団という戦う集団以外に、他のスポーツチームは勿論、 企業などの戦う集団にも広く通用する人事哲学が本書の通奏低音となっている。とても面白いし、一般企業に勤務する社会人としても、非常に参考になる。
 本書のオビに「私は自慢話をしているのではない」と書きつつも、あちこちに現役選手時代~南海の選手監督~ヤクルト監督時代の自慢話が散りばめられているのは ご愛嬌。
 閑話休題。
 野村克也氏は自分をアンチ巨人というが、少年時代からファンである巨人軍に対して、その監督にも選手にも、強い思い入れ・大きな愛情を持っていることがよくわかる。でも、これまで巨人とは中からではなく、外から関わってきた立場も非常によくわきまえている。 今の巨人の凋落を何とかしたいという気持ちが強い一方、でも自分の立ち位置として、巨人を中から変えるのは自分の役割ではない、という気持ちが、チョット屈折した形で現れている。そのような野村克也氏に、暖かい人間性を感じる読者は、私一人だけではないだろう。
 繰り返すが、非常に面白い。良書。

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