2012年7月15日日曜日

C.K.プラハラード「ネクスト・マーケット」

C.K.プラハラード (著), スカイライト コンサルティング (翻訳)
「ネクスト・マーケット 「貧困層」を「顧客」に変える次世代ビジネス戦略 ウォートン経営戦略シリーズ」
<http://www.amazon.co.jp/dp/4901234714/>
単行本: 496 p ; 出版社: 英治出版 ; ISBN: 4901234714 ; (2005/09/01)
[書評] ★☆☆☆☆
 従来のビジネス(B to Cビジネス)は、裕福層を対象として商品・サービスを提供する というのがこれまでの常識であったが、貧困層も対象にした場合、市場は何倍もの大きさになる。もちろん、貧困層を対象に商品・サービスを提供するには、 富裕層を対象としたマーケティングとは全く異なるアプローチが必要になる。また、独占的既得権益を持つ一部の人々をどのように扱うかも問題になる。 本書では、義足や眼科手術といった医療サービス、さらには消費財、既存商品に対する流通革命等々について述べる。
 インド全体を「貧困」と言ってしまえば、本書の議論は成り立つ。しかし、どれ程妥当な議論が出来ているかはよくわからない。よく知られている通り、インドにはカースト制度がいまだに根強く残っているが、たとえば最下層の人たち(いわゆる不可触賎民)も同じ商品・サービスを手に入れることが できているか? 本書でマーケットとして対象としているのは、 社会階層の最上層の次に位置する新・富裕層の人たちだけではないか?  市場が広がったという実例には富むが、本当に貧困層全てを対象としているか否か、 十分なデータが示されていないように思える。また、インドという社会が非常に特殊な状況にあるので、 他の国で参考になる情報は、意外にも少ないような気がする。
 さて。本書を読んで驚くのが、インドの現代医学・医療は非常に進んでいる!ということだ。 義足や眼科手術が驚くべき低コストで実現できていることなどは注目に値する。
 注目の書ということで、つい手にとってしまったが、言われている程新しい内容は無いのではないか。…という訳で、★1つ。

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